[中国電脳事情]

【中国電脳事情セレクション】IoTへの注力を強める中国の3大通信キャリア、ほか

2017年8月8日(火)足立 治男

中国メディア各社の報道から、IT関連の最新動向を紹介する「中国電脳事情」。1カ月間に報じられた主要なニュースから重要なものをピックアップしてお伝えする。

フェイスブック、AI人材獲得のために中国の有名大学と提携

―第一財経日報(2017年7月4日)

 2017年7月3日、上海科学技術大学でAIやスマート化に関するセミナーが開催された。ここには、米マイクロソフトのAI部門および同社研究事業部門責任者のハリー・シャム(沈向洋)氏や、ニューヨークから駆け付けた米フェイスブックのAI研究所(FAIR)所長であるフランス人、ヤン・ルカン氏の姿もあった。

 米ニューヨーク大学の教授でもあるルカン氏は、2013年12月よりフェイスブックAI研究所の所長として招かれ、同社のAIプロジェクトを統括している。この日同氏は「フェイスブックの使命は人と人、そして人とコミュニティとをつなげることだが、そのためには明確なアルゴリズムを用いてユーザーのニーズを解析する必要がある」とコメント。この種の取り組みはフェイスブックだけでなく、グーグルやマイクロソフトなども行っているが、「例えばグーグルは自動運転車やスマート医療など事業領域が非常に広範だが、フェイスブックのそれはSNSに特化している」と、その戦略の違いに言及した。

 そんなフェイスブックにとって、中国における最も重要な業務は、「中国人AI人材の獲得」であるという。同社はすでに、北京市の清華大学や上海交通大学といった中国を代表する理系大学との提携を始めており、そこではルカン氏がこれまで米国やフランスで実践してきた産学連携のメソッドが踏襲されているという。「大企業によるAI分野の人材獲得競争は非常に激しく、賃金待遇もうなぎ上りだ。我々は人材の所在を明確にし、彼らが卒業する前に採用する必要がある」(ルカン氏)

 ルカン氏は、ここ3カ月内に2回も中国を訪れて中国AI業界との接触を続けている。同氏によると、最近、中国で発表されたAI関連の論文を読むと、中国のAI研究のレベルが大幅に向上していることがうかがえるという。

 また、フェイスブックの研究開発チームにもすでに多くの中国人が在籍している。ルカン氏は、「我々は大学の科学研究プロジェクトに注目しており、興味のあるプロジェクトを見つけたら、その研究をしている学生を探して、彼らに当社での実習の機会を提供する。そして、その実習期間内に彼らは論文を発表することになる」と説明。AI研究所では年間100本近くの論文を発表しており、現在の在籍者も100名近くなので、平均で年間1人1本の論文を発表していることになるという。

成長を続ける中国産業用ロボット市場

―21世紀経済報道(2017年7月6日)

 2017年7月5日、「2017中国国際ロボット産業成長フォーチューンフォーラム」が開催された。同フォーラムで発表された最新統計によると、2016年の中国市場における産業用ロボットの消費総量は8万9000万台で、前年比26.6%の成長となった。そのうち、中国国産の産業用ロボットの販売台数は2.9万台で、前年比30.9%の成長となった。

 2017年における中国国内のロボット産業動向は活況そのものだ。業界団体の中国ロボット産業連盟が加盟企業の産業用ロボットメーカーを対象に実施した調査によると、43.8%の企業が2017年における新規オーダー増加数が前年比30%を超えたと回答。また、同じく43.8%の企業が増加率を前年比10~30%と回答している。中には生産が追い付かない企業もあるという。

 産業用ロボットメーカーの1社、effort(埃夫特智能装備・安徽省)の董事長兼総経理(代表取締役社長)、許礼進氏は今の市場について、「絶頂を迎えつつある。中国自動車産業における2001年のようだ」とコメントしている。また、中国ロボット産業連盟の理事長で、「SIASUN Robot & Automation」総裁の曲道奎氏は、「中国の産業用ロボット産業は依然として成長初期の段階にあり、すでにこのような成果を上げたのは本当に大変なことだ」と語る。

 国際ロボット連盟(IFR)の最新統計によると、2016年における世界の産業用ロボット販売台数は29万台で、前年比14%の成長であるという。国際ロボット連盟の産業用ロボットサプライヤーグループ主席のアンドレアス・ポール博士は、「現在の予測では、中国企業による産業用ロボットの需要は、2ケタ台による世界市場の成長を後押しすると見られる」との見解を示した。IFRのWebサイト上でも、現在、アジア市場全体で産業用ロボットの爆発的成長が見込まれているが、2019年になると、世界の産業用ロボットの販売数の40%が中国市場となるとの予測が掲載されている。

 欧州におけるIndustrie 4.0の成長、産業の転換と変革、人口構造の変化など、さまざまな要素により、中国はすでに世界最大の産業用ロボット市場になっているが、その伸び率から、まだ成長の初期段階であると思われる。

 IFRの統計によると、世界平均人口1万人が利用している産業用ロボットの台数は69台で、これが中国平均になると49台だ。この数字は中国と日本、ドイツ、韓国、米国などの工業が発展した国家との格差が依然明らかであることを意味しており、国内では、産業用ロボットの成長の伸びしろがまだまだあるとの見方が支配的だ。

 「中国のロボット市場は今後10~15年間成長持続で間違いない」と曲氏。ポータルサイト「中国ロボットネット」の予測では、今後5年間における中国ロボット業界の年平均複合成長率は19.8%で、2021年における産業用ロボットの販売台数は21万台としている。

 「第13次5カ年計画や中国製造2025のため、ここ数年は中国製造業の発展においてきわめて重要な時期となる。それはロボット産業においては急成長の黄金期間となるだろう」と指摘するのは、工業・情報化省の装備司(日本の局に相当)副司長の羅俊傑氏だ。

 天星資本研究所のデータでは、現在、中国国内には40を超えるロボット産業パークがあり、ロボットメーカー企業は2000社近くあるというが、曲氏によれば、「中国には真にメーカーと呼べる企業は少ない。自社独自の技術と設計や研究開発の能力を有し、一定の規模と市場シェアがあり、システムまで手掛ける企業となると10社もないだろう」という。

 同研究所のデータには、世界のロボット企業トップ20社の内、日本企業は16社、韓国2社、スウェーデンとドイツが各1社となっており、どの企業も自社の特許申請がアクティブな時期が20年以上継続している。一方、中国国内でのロボット関連の特許申請のうち、トップ20のほとんどは大学や研究機関で占められ、企業は中央国有企業の国家電網と前出の瀋陽新松の2社だけである。

 ただし、状況は好転しており、中国ロボット産業連盟の統計によると、2016年の多関節ロボット市場では中国産が21.5%を占めていたという。数年前は5%であったので順調な伸びと言える。「ハイレベル市場における中国産ロボット製品の進歩はとても速い」(曲氏)

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