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「ハイパーコネクト時代」にこそOSSの価値が際立つ、英知が結集されるエコシステムなしにイノベーションは成し得ない

──「カタリスト」を標榜するレッドハットの戦略とは

2016年1月27日(水)

OSS(オープンソース・ソフトウェア)の商用ディストリビューションの領域で世界をリードするレッドハッドは、クラウド、モバイル、IoTといったキーワードに象徴される“ハイパーコネクト”時代を見据え、インフラやアプリケーション開発、マネジメントサービスのさらなる強化に邁進している。今後のグローバル市場、そして日本市場において、どのような成長の道筋を描いているのか。このほど来日したレッドハット 上級副社長のアルーン・オベロイ氏に話を聞いた。

テレコム業界と手を組みながら
クラウド型NFVの商用化を加速させる

 レッドハットは、2016年会計年度の第3四半期(2015年9~11月)の売上において、前年同期比15%増(実質ベースでは同21%増)を達成した。実に13年にわたる55四半期連続の売上増という驚くべき成長だ。

 背景にあるのは、OSSの領域における圧倒的な市場展開力である。オペレーティングシステム(Red Hat Enterprise Linux)から始まったレッドハットの製品群は、現在では仮想化管理(KVM / Red Hat Enterprise Virtualization)、ミドルウェア(Red Hat JBoss Middleware)、クラウド(Red Hat Enterprise Linux OpenStack Platform、OpenShift、Red Hat CloudForms)、ストレージ(Red Hat Gluster Storage、Red Hat Ceph Storage)、モバイル(Red Hat Mobile Application Platform)、さらにコンサルティングサービスなどへと拡大。今この瞬間も全世界で100万を超える開発プロジェクトが進行中という。

米レッドハットで、グローバルセールス&サービスの上級副社長を務めるアルーン・オベロイ(Arun Oberoi)氏

 では、この先にレッドハットはどんな戦略を描いているのだろうか。このほど来日したグローバルセールス&サービス担当の上級副社長であるアルーン・オベロイ氏は、「まもなく訪れるハイパーコネクト時代に向けて、クラウドを中心したインフラ、アプリケーション開発、マネジメントサービスをさらに強化していく」という基本戦略を強調する。

 例に挙げるのが、クラウド型NFV(ネットワーク機能仮想化)への取り組みだ。現在のモバイル通信サービスは、1デバイスあたり月額5,000円程度の料金を設定することで採算が成り立っているが、2020年には500億台を超えるモノがインターネットにつながるとも予想されている“ハイパーコネクト”時代に向けては、100円以下といった低料金でのネットワーク接続をサポートすることが求められる。そうした通信サービスの抜本的な変革を後押しするのがクラウド型NFVなのだ。

 従来の高価な専用ハードウェアの代わりに、汎用サーバーを用いてネットワーク機能を仮想的に実現するNew IPと呼ばれるアーキテクチャーを実現する主要コンポーネントのひとつがNFVである。オープンソース技術を取り入れたSDx(Software Defined、ソフトウェア定義)のコントローラやオーケストレーションツールと連携することで、複雑だったネットワークの設計や運用をシンプル化する。

 「テレコム業界と手を組みながらOpenStackを活用し、単なるデバイスやプロセスの接続にとどまらない新たな価値を生み出していく柔軟かつ高品質な通信サービスを、コストを抑えながら開発できるようにするためのクラウド型NFVの実用化、商用化を加速させていく」とオベロイ氏は語る。ちなみにクラウド型NFVについては、日本においても2015年にレッドハット、デル、インテル、ブロケードの4社による共同検証実験が行われ、大きな注目を集めた。

レガシー資産も捨て去る必要はない
ハイパーコネクトは“マルチモーダル”で進化する

 レッドハッドが推進するこうした新戦略の恩恵を受けるのは、なにも「Uber」や「Airbnb」といった注目株のイノベーターだけではない。「ハイパーコネクトの世界は“マルチモーダル”で進化していくというのが、レッドハットの見方であり、既存の業界や企業は今ある資産を無理に捨て去る必要はない」とオベロイ氏は、次のように強調する。

 「レガシーな資産であっても現状で問題なく動いているならば、そこに新たな投資をしたくないという思いは、誰にとっても当然のこととしてある。レガシーな資産はレガシーのままで残しておき、新しい仕組みとリンクできればよい。レッドハットとしてもレガシーなアプリケーションをコンテナ化してAPIを設定し、クラウドのアーキテクチャーと柔軟に接続できる仕組みを提供している」。

 レガシーな資産の上に新たなオープンソースのテクノロジーを積み重ねながら、ハイパーコネクト時代に備えた基盤を築いていくことがレッドハットの新戦略の核心なのだ。実際、この理念があってこそ社会全体のイノベーションを推進することができる。

 例えば、医療やヘルスケアといった業界に着目すると、さまざまな法規制や許認可の存在が新しいテクノロジーの導入を困難にしている側面がある。だが、それらは人の命を預かる上で必要な措置として行われているものであり、長年にわたる臨床試験を経て医学的有用性や安全性を実証するのに、医療現場で使われているレガシーな資産を捨て去ることはできない。ディスラプター(破壊者)になることばかりを考えて現状を否定するのではなく、むしろレガシーな資産も含めたトータルな情報活用をいかに実現していくが最も重要な課題なのだ。

 「既存の医療機器から収集したデータに加え、モバイルデバイスを通じて日常的にモニタリングした患者のバイタルデータなどもクラウドに蓄積していく総合的なアナリティクスの基盤を構築することで、より正確な医師の診断を側面からサポートするなど、ヘルスケアビジネスの新しい展開が期待できる。こうした取り組みの積み重ねがイノベーションにつながっていく」とオベロイ氏は語る。

 製造、金融、鉄道、電力、公営事業など、長い歴史を持つあらゆる業界の企業において、同様にレガシー資産を活かしたイノベーションへの取り組みが求められている。

今後のインフラ選定における
最重要の判断基準はエコシステムにある

 もっとも、ハイパーコネクト時代に向けては多くのベンダーがそれぞれ独自のコンセプトやアーキテクチャーを提唱している。ユーザー企業にとっては、どんなインフラを、どんな基準によって選定すればよいのか、判断がますます難しくなっているのが実情だ。

 こうした悩みを抱えるCIOに向けてオベロイ氏は、「しっかり認識していただきたいのは、今後に向けて導入しようとしているインフラの本質は、テクノロジーのプラットフォームではなく、ビジネスのプラットフォームであること。特定のベンダーに依存すると身動きがとれなくなってしまう恐れがあり、将来のビジネスを自分自身でコントロールできるインフラを選定することが何よりも重要」とアドバイスする。

 そこでの判断基準として提示するのが、「真の意味でオープンなテクノロジーに基づいたインフラであること」「デジタル化に本格的な弾みがついた数年後にもスムーズに対応できる柔軟なスケーラビリティを備えていること」「多様なサプライヤーを集めたエコシステムを提供していること」という3つのポイントである。

 特に3つ目のエコシステムは、今後ますます重要度を増していくと考えられる。「今後のハイパーコネクトの世界は、どこか特定のベンダーが牛耳ることで築かれるようなものではない。世界中の何千、何万というベンダーやステークホルダーが一体となったコラボレーションを通じてこそ、新たな価値を生み出すことができる。そんなエコシステムを醸成するカタリストとしての役割をレッドハットは担っていく」とオベロイ氏は語る。

 米国に次ぐ世界第2のオープンソースの巨大市場に成長した日本も、その活動の中心地となるという。レッドハットは、IoTをはじめとするさまざまなアプリケーションの開発拠点として日本を位置づけており、富士通、日立、NECといった主要なITベンダーとのパートナシップを拡大している。そうしたコラボレーションの中から構築されるエコシステムを全世界に向けて展開していく考えなのだ。


●お問い合わせ先

レッドハット株式会社 https://www.redhat.com/ja/global/japan

セールスオペレーションセンター(SOC)
TEL:0120-266-086 (携帯電話からは03-5798-8510)
E mail: sales-jp@redhat.com

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