[CX(Customer Experience)デザインの基礎知識]

顧客の“真実の瞬間”を見極める「カスタマージャーニーマップ」【第5回】

2016年8月22日(月)飯塚 純也(ジェネシス・ジャパン コンサルティング本部 本部長 サービスデザイナー)

顧客体験を最適化するためのCX(カスタマーエクスペリエンス)デザイン。前回から、CXデザインを実際に進めていくためにフレームワーク「ダブルダイヤモンド」におけるセッション内容を説明しています。「自分たちの顧客は誰か」を明確にするためのツールとして「ペルソナ」と「ステークホルダーマップ」を紹介しましたが、その顧客体験を可視化するためのツールが「カスタマージャーニーマップ(CJM:Customer Journey Map)」です。

 CX(Customer Experience:顧客体験)を最適化する目的は、顧客のロイヤリティを高め、継続的にブランドを利用してもらうことです。そのために、自分たちの顧客が誰で、どの顧客を大事にしなければならないのかを把握するための作成するのが「ペルソナ」と「ステークホルダーマップ」でした(第4回を参照)。そこから見い出した顧客の体験を可視化するためのツールが「カスタマージャーニーマップ(CJM:Customer Journey Map)」です。

 ではCJMは、どのようにして作り、それによって何が得られるのかを詳しく見ていきましょう。

カスタマージャーニーは顧客体験に時間軸を加えたもの

 「カスタマージャーニー」という言葉自体は耳にされたことがあるでしょう。ブランドと顧客の関係を“旅”になぞらえた表現です。どちらかといえば、マーケティングの文脈で「企業の見込客獲得における一連のプロセス」という意味で使われることが多いようです。しかし当然ながら、“顧客の旅”は見込客になった後も続きます。CXを考えるうえではまず、このことを理解することが大事であり、CXに時間軸を加味する必要があるのです。

 ではなぜ、カスタマージャーニーが重要視されるのでしょうか。いくつか背景や理由はありますが、それらに共通するキーワードの1つが「真実の瞬間(Moment of Truth)」です。これは、購買意思が決定される瞬間を表すものです。

 例えば「ZMOT(Zero Moment of Truth)」という言葉があります。米Googleが提唱した顧客の購買行動に関する概念で、店頭に足を運ぶ前に行われる意思決定を指します。PCやモバイルなどの普及により、顧客の購入プロセスは多様化しており、店頭で商品を実際に手に取る前にWebで情報を収集し、比較サイトや口コミサイトを参照した段階で、購入の意思決定はほぼ終わっているとの見方です。

 一方で、店頭での陳列や店員の接客といった“体験”も、購入意思決定に影響を及ぼします。これが「FMOT(First Moment of Truth)」という考え方です。さらに、購入後の使い勝手や不具合があった際のコールセンターの対応といった“体験”は、「次もその商品を購入したいと思うか」という意識に影響を与えます。これは「SMOT(Second Moment of Truth)」という考え方です。

 つまり、CXをデザインする際には、ブランドにとっての顧客のライフサイクルは本来、非常に長いということを理解しておく必要があります。潜在顧客から見込客、既存客、優良顧客というように、ブランドと顧客との関係が進んでいくライフステージ全体に関係するからです。

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