[インタビュー]

「デジタル変革期に変貌する情報システム、企業はデータへの注力を強めよ」―ソフトウェアAG幹部

独ソフトウェアAG CEO カールハインツ・シュトライビッヒ氏/CTO ウルフラム・ヨースト氏

2017年4月19日(水)河原 潤(IT Leaders編集委員/クラウド&データセンター完全ガイド編集長)

BPM(ビジネスプロセス管理)の「ARIS」「webMethods」、RDBMS/開発環境の「Adabas/Natural」、CEP(複合イベント処理)型ビッグデータ管理の「Apama」、インメモリデータ管理の「Terracotta」などを手がける独ソフトウェアAG(Software AG)。グローバルBPMベンダーの印象が強かった同社だが、現在は、IoTをはじめとした先端ITの高度活用を支援する「デジタルビジネスプラットフォーム」ベンダーを標榜する。BPMやトランザクション管理の領域で培われた実績がユーザーのデジタル変革支援においてどう生かされるのか。CEOのカールハインツ・シュトライビッヒ(Karl-Heinz Streibich)氏とCTOのウルフラム・ヨースト(Wolfram Jost)氏に聞いた。

デジタル変革が企業情報システムにもたらす影響

――CeBIT 2017の開催に合わせて、製造業に向けたソフトウェアAGのIoTイニシアチブ「Made in Digital Germany」を発表されています。IoTの活用レベルが増すに従って、企業のITアーキテクチャと、ビジネスプロセスやBPMの役割にどのような変化がもたらされるのでしょうか。

ヨースト氏:変化というよりも、IoTのための新しいビジネスプロセスが必要になる。多様なモノとインターネットを接続し、そこで多様なデータを収集する。蓄積されたローデータに対して、直接処理を行ったり、各種のビジネスで活用可能なデータフォーマットに変換したりする。こうした一連を確実にこなすためにだ。

 IoTで接続・連携されるモノやヒトの数・種類が膨大化し、20年前には存在すらしなかったことが起きている。この点については変化と呼べるだろう。自動車業界を例にとると、1台の自動車の運転・走行に伴い、膨大かつ多様なデータがリアルタイムに更新され続ける。自動車メーカー、関連企業、あるいはドライバー自身と、データへのアクセスを必要とする組織・人は多岐にわたり、そこでのビジネスプロセスは、顧客やサプライヤーたちとの間での継続的なアクションを支えることになる。

シュトライビッヒ氏:IoTは、ソフトウェアAGの「デジタルビジネスプラットフォーム」において最大の成長ドライバーとなるもので、IoTの取り組みで求められる、多種かつ大量のデータを統合し分析可能なプラットフォームを提供する(図2)。顧客は、この上で自社のビジネスモデルをデータオリエンテッド、ソフトウェアオリエンテッドなプロセスに結合させたうえで、デジタルビジネスを創出できるようになる。

図2:ソフトウェアAGのデジタルビジネスプラットフォームとユースケース(出典:独ソフトウェアAG)
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モード1とモード2の連携が生む新しいビジネスモデル

――ところで、デジタルビジネスを担う新しいタイプのシステムが増えてくると、特性の異なる従来型システム群(SoR:Systems of Records)との両立問題が浮上します。いわゆるバイモーダル(Bimodal)IT環境をいかに首尾よく運用するかの問題ですが、IT部門やそのリーダーはどのような点に留意するとよいのでしょう。

ヨースト氏:まずはモード1とモード2の特性の違いをしっかり把握する必要がある。従来型のモード1システムは、先に述べたビジネスロジックセントリックなシステムであり、長年にわたり機能実装の積み重ねで構成されてきた(図3)。IT部門スタッフは、ガバナンス、セキュリティ、プロダクティビティなどを機能として実装し、その運用管理に注力してきた。

 そして、クラウド、モバイル、IoTなどを駆使した、デジタルビジネスに向けたモード2の台頭で、今までのIT運用管理のスタイルがもはや最善ではなくなった。モード2システムの中には、先々のITリソース使用量の予測か困難なものや、試行錯誤を繰り返して会得する類の未知領域を扱うものなども多くあり、それらにはモード1のやり方が通用しないからだ。

 モード1とモード2は適宜、連携させる必要があり、そこから新しいビジネスモデルのアイデアが生まれる。デジタルビジネスプラットフォームは当然、両モードをサポートしている。

図3:バイモーダルIT環境における、それぞれのシステムの特性の違い(出典:独ソフトウェアAG)

――今年のCeBITの目玉発表の1つに、メルケル・安倍両首相から「ハノーバー宣言(Hannover Declaration)」の言及がありました(関連記事)。両国間のIoT連携・協働の枠組みに期待するものはありますか?

シュトライビッヒ氏:いくつかのイニシアチブのうち、標準規格の共同策定には期待をかけている。IT市場規模の大きさから、これまで数多くの標準規格が米国で策定されてきた。今後、ドイツと日本がIoTのマーケットプレースを結合させながら、この領域の新しい標準を共同策定できるようになることを願っている。

 前提として言語や文化の差の問題を解決する必要は出てくるが、IoTの自社導入にハードルを感じていた日本の伝統的な大企業にとってはチャンスとなろう。これから始まる両国の連携は、IoT活用に立ち後れた企業を活性化する目的を持っている。デジタルビジネスを構築するのに、互いにこれまでの参入障壁を大きく引き下げると考えている。

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