[クラウド分解辞典−Microsoft Azureの実像に迫る]

PaaS型データ管理サービスとして進化を続けるAzure SQLデータベース【第7回】

2016年11月7日(月)長崎 友嘉(アバナード クラウドマーケットユニット グループマネージャー)

米Microsoftが開発し提供するクラウドサービスである「Microsoft Azure」(以下、Azure)の全体像に迫る本連載。前回はAzure Active Directoryのサービス形態と新機能について紹介した。今回は、Azure PaaS(Platform as a Service)の代表格である「Azure SQLデータベース」について解説する。

 第2回から第4回にかけて、AzureのIaaS(Infrastructure as a Service)に分類されるサーバー(仮想マシン)、ストレージ、ネットワークについて説明し、第5回第6回では、セキュリティと管理のサービスである「Azure Active Directory」と「Multi-Factor Authentication(多要素認証)」を取り上げた。今回からは、Azure上で様々な機能が提供されているPaaS(Platform as a Service)について紹介する。

 AzureのPaaSにおける代表的サービスが「Azure SQLデータベース」である。今回は、そのSQLデータベースサービスの機能を解説する。Azure仮想マシン上のMicrosoft SQL Server(以下、SQL Sever)との差異については次回に観点を整理し比較する。

PaaS型データ管理サービスとしての機能拡張が続く

 Azure SQLデータベースは、SQL Serverのエンジンを基礎として提供されるPaaS型のリレーショナルデータベース(RDB)サービスである。ソフトウェア製品の「SQL Server」と共通のデータベースオブジェクトや、管理ツール、開発ツールなどをサポートしており、開発者は使い慣れた手法を継続して使用できる。現行バージョンである「Version 12」では、高い互換性を持つようになっており既存のオンプレミス環境からの移行が容易になった。

 Azure SQLデータベースの基本的な特徴として、インフラストラクチャー部分に関する構築および管理の大部分をクラウドサービスに任せられることが挙げられる。PaaS型データ管理サービスとしての基本機能と言えるスケーリング、継続性、高可用性といった機能群を備える。具体的には以下の機能をサポートしている。

●エディションおよび価格レベルの変更により、ダウンタイムを最小限に抑えた柔軟なスケーリング
●自動バックアップなどによるデータベースの継続性と障害復旧
●「アクティブgeoレプリケーション」などによる高可用性

 他のAzureサービス同様に、Azure SQLデータベースでも、新機能のプレビューが次々と公開され、一定期間の後、一般サービスとして提供される。Version 12で利用可能な機能のうち、2016年以降に一般提供された、あるいはプレビュー段階にある機能の中で代表的なものを以下に示す。

●エラスティックデータベースプールによるリソース共有と自動スケーリング
●「SQL Database Advisor」による自動チューニング
●「Query Performance Insight」を使用したデータベースパフォーマンスのトラブルシューティング
●脅威検出機能による、セキュリティ脅威が疑われるデータベースアクティビティーの自動検出

 SQL Server 2016の新機能として提供された「クエリストア」「行レベルセキュリティ」「動的データマスク」などの機能は、SQL Serverに先行してAzure SQLデータベースに実装された機能である。今後もAzure SQLデータベースから先に新機能のプレビューが公開されていくことが想定される。SQL Serverとの互換性を保ちながら、新機能をいち早く利用ができることがAzure SQLデータベースの大きな魅力といえる。以降では、PaaS型サービスとしての特徴的な機能について解説する。

ワークロードに応じスケールアップ/スケールダウンが可能

 Azure SQLデータベースでは、エディションおよび価格レベルを変更することで、ワークロードの規模に応じたスケーリングが可能になる。エディションは、Basic、Standard、Premiumの3段階があり、それぞれに1〜数種の価格レベルが設定されている(表1)。

表1:Azure SQLデータベースVersion 12のエディションと価格レベル表1:Azure SQLデータベースVersion 12のエディションと価格レベル
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 価格レベルは、「DTU(データベーストランザクションユニット)」と呼ばれる相対的な性能指標で定義されるパフォーマンスレベルを意味しており、時間単位の課金料金にも反映される。例えば、2016年8月に一般提供された価格レベル「P15」は、「P11」の2倍以上となる4000 DTUの性能を持つ。ワークロードの急増に対応するためのスケールアップの最高性能が大きく向上している。

 エディションまたは価格レベルを変更した際のスケーリングの動作としては、変更後の価格レベルでレプリカが作成された後、接続先が切り替わる形になる。この際、最小限ではあるが数秒から数十秒程度の接続停止時間が発生する。よって、スケーリングを実行する想定がある場合は、クラウドサービス上で使用するアプリケーションに推奨される、リコンフィグレーションを考慮したリトライ処理を実装したり、接続タイムアウト値を変更したりしておく必要がある。

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