[株価から見るIT企業の強みと弱み]

不採算案件は終結 経営統合の効果を生み出す来期のコスト削減に注目[ITホールディングス(証券コード 3626)]

2009年3月23日(月)

金融危機に端を発する現在の不況は、まさしく先が見えない様相を呈している。先が見えない時代だからこそ、どんな企業にも環境対応に適応する柔軟性や、業種業態に応じた企業体力が求められるだろう。 そうした要求に応える、あるいは先手をとるべく布石を打った会社の1社が、今回、焦点を当てるITホールディングス(以下、IT-HD)だ。08年4月にクレジットカード業界に強みをもつTIS(2008年3月期の売上高1992億円)と、金融・通信分野の受託開発を中心とするインテックHD(同1231億円)が経営統合。両社の持株会社としてIT-HDが設立された。統合により規模を拡大し、厳しさを増すIT産業の中で生き残りを図る狙いである。

IT-HDの2009年3月期の売上高(計画)は3400億円。情報サービス専業ではNTTデータ、野村総合研究所に次ぐ3位に位置する。だがIT-HDの企業価値をこれで計れるかといえば、そう単純ではない。企業価値を見る際に重要なのは戦略の評価である。具体的には、1TISが展開してきた独立系プライム・コントラクタ路線の今後の展開、22社によるシナジー効果にある。

TISは積極的な企業買収で成長

TISが標榜する独立系とは、特定の大口顧客に依存するのではなく、複数の企業にサービスを提供する事業形態を指す。特定の大口顧客の業績や戦略に影響を受けにくいメリットがある一方、大口顧客による安定収益が見込みにくい問題がある。TISはこの問題を克服するために、M&Aを通じて、規模拡大を図っている。

それは図1に示すTISの連結・単体売上高の推移に表れている。TIS単体の売上高は02年3月期以降、約1000億円程度で、ほとんど変わらない。08年3月期は974億円と、むしろ減少している。ただし連結売上高は02年3月期の1496億円から08年3月期には1992億円と、6年間で36%増加している。この間、ユーフィットや旭化成情報システム(AJS)などを買収している。

図1 TISの連結および単体 売上高・経常利益推移(単位:百万円)

一方、TISはここ数年、プライム・コントラクタ、すなわち元請け路線を志向しており、2004年に下請けとして手掛けていたクレジットカードの基幹システム開発(JCB向け)を元請けとして受注した。ハードウェアを含めて総額500億円(筆者推定)のプロジェクトだが、追加開発の際のコスト分担など最初の契約が不明瞭であったことなどから開発は苦戦。稼働を2度、延期した。結合テストにも想定外の工数が発生し、07年3月期には128億円の追加引当てにより赤字に転落。08年11月にようやく稼働にこぎつけた。

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