[要求仕様の美学]

第7回 確認の一手間と理論武装で、推論や日和見主義によるエラーを排除する

2009年4月6日(月)

前回まで、ヒューマンエラーを引き起こす原因について人間工学と認知心理学の見地から解説した今回はそれらを踏まえ、要求仕様書作成時に発生するヒューマンエラーの具体例と解決策を解説する。

要求仕様書作成時に発生するヒューマンエラーは、「要求のとらえ方を間違える」「達成手段を間違える」「要求のとらえ方と達成手段の両方を間違える」という3つのパターンに分けられる。

まず、要求のとらえ方を間違える大きな要因を3つ挙げる。「誤解」「感情の介入」「推論の間違い」だ(図1)。1つめの「誤解」は文字通り、要求者の言葉や文章を、まったく別の意味と取り違えてしまうことである。

画像:問題のとらえ方を間違える3つの要因
図1 問題のとらえ方を間違える3つの要因

一例を挙げよう。フィリピンの首都マニラ市でのことである。ある商社に勤務する駐在員の奥さんがいた。近所に似たような境遇の奥さんがいて、2人は仲がよかった。ある日、青森から送られてきたというリンゴを友人が持ってきた。2人で食べようということらしい。そこでこの奥さん、お手伝いさんを呼んでこう頼んだ。「リンゴの皮をむいて持ってきて」。そのお手伝いさんはフィリピン人だが、日本語による日常会話にはほとんど問題がない。しかし、この時は首をかしげながらキッチンに入っていった。

その後、おしゃべりにふけっていた奥さんと友人は、お手伝いさんが持ってきた皿を見て仰天した。皿にはリンゴの皮が乗っていた(図2)。奥さんと友人は顔を見合わせて大笑いしたそうだ。しかしこの話、笑えない。

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