データドリブン経営への現実的ステップ

社内外から入手し得るデータを基に的確な一手を導き出し、素早くアクションを起こす─。熾烈な競争で優位に立つには「データドリブン経営」を強く意識しなければならない。理想に向かって着実に歩を進める上で、念頭に置いておくべきことは何か。データ活用高度化のヒントとなる記事を特集としてまとめる。

Pick Up
ブロックチェーンはデータマネジメントに使えるのか
フィンテックの領域で、最近何かと話題になる「ブロックチェーン」。金融業界だけに関係する話だと思い込むのは早計で、データを堅牢な環境でハンドリングするための要素技術として有力視されている。「データマネジメント2016」において、インフォテリア代表取締役社長/CEOの平野洋一郎氏がブロックチェーンの活用の可能性を解説した。
豊富な経験が実証するMDMの本質と成功のポイント
意思決定の精度アップ、事業スピードの加速…。これらを実現するための生命線でありながら、多くの企業において後手に回っているのが「マスターデータ」の管理である。この領域に軸足をおいて多くの実績を積み上げてきたインフォマティカのエバンジェリストが、「データマネジメント2016」のセッションで、MDMの本質と成功のポイントを解説した。
データ活用高度化に向け、「品質」と「費用」の最適バランスを考える
データを積極的に経営に活かすのに重要となるのがデータの「品質」だ。ここで欠かせないのが、「ビジネス上の目的に応じて品質が定まるという」という視点だ。品質改善に向けてどのような現実的アクションを起こすべきなのか。創業以来、データマネジメントの領域に力を注ぐリアライズのキーパーソンが「データマネジメント2016」のセッションでポイントを解説した。
ビッグデータのビジネス価値を「人」を起点に考える
──可視化から最適アクションまでのプロセスをAIが加速
多種多様で膨大なデータをビジネス価値に結び付けるのは、どの企業にとっても重要なテーマ。そこで欠かせないのが、人を中心に据えて価値を究める「ヒューマンセントリック」のアプローチだと富士通は主張する。その思いや、具体的ソリューションへの取り組みはどのようなものなのか。
シンプルで直感的な操作性でデータ分析を現場に
コラボレーション機能に軸足置くBIツール「Yellowfin」
使い勝手の良さでビジネスユーザー層に広く使われ始めたBIツールの「Yellowfin」。分析対象のデータを好みの視点でビジュアライズできるのはもちろんのこと、その分析結果をベースに関係者とSNSライクなインタフェースで議論できるのが大きな特徴だ。
業務データもビッグデータも自由自在に統合・分析
ビジネス価値を導き出す理想的プラットフォームを追求
データの種類も量も加速度的に増えている。それらをビジネス価値に結実させるには、多種多様なデータを一元的ににハンドリングし、目的に沿った分析をストレスなくできるプラットフォームが不可欠だ。進化著しい企業ITの動向をとらえ「UDA:ユニファイドデータアーキテクチャ」と呼ぶ設計思想の下で製品ポートフォリオの拡充を図っているのがテラデータだ。
高度な解析からクラウド展開まで
トータルなデータ活用基盤を提供
ERPパッケージを主軸にエンタープライズITの領域を牽引してきたSAPは、ビッグデータ活用においても存在感を強めている。同社が描く理想的な基盤像や、具体的なソリューションとはどのようなものなのか─。
多種多様なデータを仮想的に統合
素早い試行錯誤で洞察導く「Mµgen」の価値
ビッグデータが秘める可能性は大きいが、結果的には役立たないデータもまた膨大であることを忘れてはならない。それを前提としたデータ活用基盤には、多種多様なデータを対象に、あれこれ観点を変えながらトライ&エラーを素早く繰り返すことが求められる。スマートインサイトの「Mµgen(ミュージェン)」は、まさにそんな用途にぴったりのソリューションである。
今やらなければビッグデータの波に乗れない!
データマネジメント実践に向けたステップとは?
業務システムのサイロ化が進み、それらにデータは蓄積しているものの、横断的に分析することがままならない──。そうした悩みを抱える企業は少なくない。世のデジタル化が加速する時代を踏まえ、今こそ取り組まなければならないのが「データマネジメント」。いつまでも後回しにすると、競合に一気に差を付けられる可能性がある。
高度な分析よりも「次の一手」の議論を重視
Domoが実現する真のデータドリブン経営
ビジネスの現場で日々起こっていることをとらえ、次に起こすべきアクションを最適化させていく──。一連の取り組みを強力に支援するデータ活用基盤の理想像を追い求め「Domo」を提供しているのがドーモだ。BIの枠を越え、データに基づいた“議論の場”を創り出すことの価値とは何かに迫る。
ビッグデータとAIでビジネスを変える
日立のデータ利活用ソリューション
手にするデータの量が多いほど企業にとって利用価値は高くなると考えるのは早計だ。料理に例えるなら、仕込みも調理方法もより複雑さを増し、満足いく逸品をテーブルに並べるのは至難の業となる。ここで日立製作所は、ビッグデータを対象としたデータ統合・分析基盤や、AI(人工知能)を応用した高度な解析ソリューションで、ユーザーの課題解決を全面的に支援する。
おすすめ記事
製造と働き方の未来へ、デジタルで生まれ変わる巨人GE
航空・運輸、エネルギー、医療、化学、金融、家電……手がけていない分野を探すほうが難しいほど、ゼネラル・エレクトリック(GE)の事業領域は多岐にわたる。そんな産業界の巨人GEが危機感をあらわにし、生き残りを賭けてハードウェア主体の従来型ビジネスから、「デジタルインダストリアルカンパニー」への転換に挑んでいる。GEの事業改革の軌跡と最新ビジョンを、日本GE 代表取締役兼CEOの熊谷昭彦氏によるデータマネジメント2016の基調講演から紹介する。
AI制御省エネ店舗や気象データ連動の物流最適化―ローソンが挑む産学官連携データ活用
データの高度活用を実現するアプローチの1つに、世界的潮流であるオープンデータへのアクセスと活用の仕組みを整えることがある。2016年3月11日に開催された「データマネジメント2016」(主催: 日本データマネジメント・コンソーシアム)に、ローソン 営業戦略部シニアマネージャの羽鳥恵美子氏が登壇。「データ活用における産学官連携の可能性と今後への課題」と題した講演で、ローソンが産学官連携に関してどうデータを活用しているかを紹介した。
「IoT時代にこそデータマネジメントの体制が問われる」──米ガートナーのテッド・フリードマン氏
IoT(モノのインターネット)のトレンドをはじめ、企業はこれまでにはないタイプの膨大なデータを手にできる時代が到来している。「新たな競争力を創る可能性を大きく秘めているが、企業はもっと足下を見つめデータマネジメントのあり方を再考しなければならない」──米ガートナー リサーチでバイスプレジデント兼最上級アナリストを務めるテッド・フリードマン氏はこう指摘する。同氏の主張を紹介しよう。
Industry4.0やIndustrial Internet の根幹をなすCyber Physical Systemsの意義
ドイツの産官学共同プロジェクトの「Industry4.0」や、米GEが主導するIndustrial Internetにおいて、その根幹となるコンセプトが「CPS(Cyber Physical Systems)」である。サーバー空間に構築した実世界と同じモデルを「デジタルツイン」と呼ぶ。今回は、CPSやデジタルツインの動向と可能性について考えてみたい。
企業は何のためにデータを活用するのか
企業は何のためにデータを活用するのか―そう問いかけるのは分析ツールを開発する米クリック・テクノロジーズ(Qlik)で変革および開発担当副社長を務めるドナルド・ファーマー(Dnald Farmer)氏だ。氏によるとその答えは「説得するため」だという。分析ツールはまさに、人を説得するための材料を作りだすツールだが、「人を説得するのはそう簡単なことではない」。なぜなら「人はEmotion(感情的)に物事を判断しがち」というのが氏の見解だ。クリックテックでは、そんな人の性質を分析ツール開発に反映させているという。
市場予測データから読み解くビジネス環境の近未来
ITを専門とする市場調査会社を中心に、2016年以降の注目トレンドや注力すべきテーマをまとめたレポートが発表されている。今、ITリーダーが頭に入れておくべき数字として興味深いものばかりだ。主要なものをピックアップして紹介する。
「破壊者」と呼ばれる新興企業、斬新な発想とビジネスモデルで存在感を示す
ITを巧みに活用し、ユーザー指向の事業モデルで新規参入する企業が、米国を中心に存在感を示している。実際には、どのような企業がどのようなビジネスを展開しているのか。ここでは、米メディア大手「CNBC」が公表したリストに基づき、この3年間の主要プレーヤーを紹介する。
地域経済を盛り上げるオープンデータ&IT活用最前線
地域の活性化という難題をそれぞれの自治体が単独で解くことは容易ではない。乗り越えるカギの一つが、行政界を超える広域連携だ。2015年12月からカマコンバレー(鎌倉)、Code for YOKOHAMA(横浜)、ヨコスカバレー(横須賀)のテック系3団体が協力して地域を盛り上げるためのサービスやアプリなどを開発するハッカソンを開催している。このハッカソンの企画運営に参加する横浜市や鎌倉市の行政職員に集まっていただき、鼎談を行った。地域の様々なプレイヤーを巻き込むオープン・イノベーションには民間の力は不可欠だという。行政と市民、企業の関係をどのように再構築するのか。意見交換の中では、ユーザー企業やIT企業にとっても示唆に富む指摘がなされた。
ユーザー事例
ジュピターテレコム
徹底した現場目線で営業支援ツールを開発
ジュピターテレコムは、ケーブルテレビ「J:COM」を運営する有線テレビ事業者だ。同社はテレビ事業に加えて、インターネット事業や電話事業を全国74局で展開、498万もの加入世帯数を抱える国内トップのケーブルテレビ事業者となっている。営業活動の訪問件数が1カ月12万件にも上るという同社は、その支援ツールの作成に長年苦慮してきた。営業マン目線で作成し、2015年1月にリリースした「J:Navi」は、苦労の末に到達した営業支援ツールの決定版として活用されている。
八千代工業
BI活用でグローバル拠点の課題を可視化
グローバルに生産拠点を構える製造業にとって、各拠点を跨いだ可視化は、経営上の重要課題となっている。環境の変化が早く、情勢が刻々と変わる現代において、各拠点の状況をスピーディーに可視化するシステムは、経営判断に大きなアドバンテージを与えるからだ。ここに紹介する八千代工業は、BI(Business Intelligence)ツールを用いてそのアドバンテージを得ることに成功している。BIベンダーのマイクロストラテジーが2015年11月12日に虎の門ヒルズで開催した「MicroStrategy Symposium」で、その経緯が明らかにされた。
ミスミ
IoTを視野に商取引基盤をクラウドベースに刷新へ
金型用部品や間接材などの製造・卸事業を手がけるミスミは、取引先との商取引基盤をクラウドベースに切り替える。独SAPグループの米Aribaの購買サービスと、加OpenTextグループのGXSのEDI(Electronic Commerce:電子商取引)サービスを組み合わせる。ミスミの次世代プラットフォーム準備室 担当部門長である金田 博之 氏が、米ラスベガスで加OpenTextが開催した年次イベント「Enterprise World 2015」において、2015年11月11日(米国時間)に概要を公表した。
アサヒグループHD
グループ経営最適化に向けIT基盤刷新、6年プロジェクトを計画通り完遂
アサヒグループホールディングスは、グループ経営の最適化を標榜したIT基盤刷新プロジェクトに取り組み、当初の予定通り2015年10月に完遂する。その狙いや、具体的な内容について、全体の指揮をとった知久龍人氏(アサヒグループホールディングス IT部門 ゼネラルマネジャー/アサヒプロマネジメント 取締役 業務システム部長)に聞いた。(聞き手は川上潤司=IT Leaders編集長)
コマツ
データから建設現場を“見える化”、最適化提案で顧客との信頼関係築く
建機を作るメーカーから、現場の最適化を支援するサービス事業者へ──。コマツが、2015年2月に開始した「スマートコンストラクション」でビジネス改革を加速させている。その具体的な内容や、目指す方向とはどういうものなのか。事業を指揮する黒本和憲氏(常務執行役員 ICTソリューション本部長)に話を聞いた(聞き手は川上潤司=IT Leaders編集長)。
コニカミノルタ
デジタルビジネスの奔流に立ち向かう“業態転換”
製造業からソリューション企業への転換を急ぐコニカミノルタ。その山名昌衛社長が、高度情報通信人材育成支援センターがこのほど、「デジタルビジネスイノベーション研究所(仮称)」の2016春設立に向けて開催したシンポジウムの基調講演に登壇した。コニカミノルタは何に取り組んでいるのか。同シンポジウムでの山名氏の講演から紹介する。
おすすめ連載
IoTの本質と価値を探る
IoT(Internet of Things)は、つかみどころのないテクノロジービジョンである。現時点でIoTのアプリケーションやサービスとして提供されているものをよく見ると、決して目新しいものではないことに気づく。本連載では、着眼点や重要な事象などを示しながら、IoTの本質と、個人や企業、社会にもたらされる価値を探っていく。
データサイエンティストの思考法~世界大会2位の頭の中~
「データ分析」という言葉をよく目にします。ですが、実際の分析活動において、データサイエンティストは何を考え、なぜそう判断・行動しているのかは、それらが頭の中で起こっているだけに、その実態に触れる機会は、なかなかありません。とても専門的で数式や専門用語だけが飛び交う世界だとイメージされているのではないでしょうか。新日鉄住金ソリューションズ(NSSOL)と金融エンジニアリング・グループ(FEG)の混成チームは、データ分析の世界大会である「KDD Cup 2015」(主催:ACM学会の分科会SIGKDD)で、第2位に入賞しました。本連載では同チームのメンバーが、大会において何に注目し、何をどう考えていったのか、データサイエンティストの思考法について、大会での実際の作業内容を交えながら紹介します。データ分析に対するイメージが大きく変わるはずです。
ワンデータ・トランザクションが実現するSCMの未来
インターネットやクラウドコンピューティングの利用による情報連携は、SCM(Supply Chain Management:サプライチェーンマネジメント)にも大きな転換を迫っている。システム的にも、従来のように“モノ”を作り、運び、保管し、売るためのプロセスに紐づく情報をやり取りする基盤から、高度に、そして能動的に情報を活用するプラットフォームへと変わるべき時が来ている。本連載では、サプライチェーン上の複数のプレーヤーが、業務に関わる情報を一元的に管理し業務をコントロールする仕組みを「ワンデータ・トランザクション」と定義し、このワンデータ・トランザクションによって将来のSCMがどう変化していくかを解説する。
ものづくりからことづくりへ、製造業に迫るサービス化の波
製造業におけるパラダイムシフトが始まっている。利用者が製品を選ぶ際の基準が変化してきたのが最大の原因だ。これまでの「ものづくり」中心から、製品のライフサイクル全般を対象に利用者に体験価値を提供する「ことづくり」への変革が求められる。なかでも、これまで相対的に軽視されてきたアフターサービス領域での顧客接点の継続的な獲得・維持、すなわちSLM(サービス・ライフサイクル・マネジメント)が、売り上げ的にも製品開発的にも重要になってくる。本連載では、欧州や北米で活発になってきた「製造業のサービス化」の動きを概観した後に、サービスから得られる収益を最大化するためにサービス・バリューチェーン全体で、どのような業務改善やIT 投資を実施する必要があるのかを解説することで、サービス提供のこれからの仕組みについて考えていく。
データ分析が導く製造業の変革
製造業といえば“モノづくり”のイメージが強い。だが実際は、モノを作るだけが製造業の事業ではない。作った製品を販売し、アフターサービスなどを通じて顧客とのつながりを保持するなど、製品企画、製造、販売/利用という製造業のプロセスに従って幅広いビジネスを展開している。近年、データ分析の機運が高まっている。製造業においても、その幅広いビジネス領域において、データ分析をどのように進めていくべきかが問われている。本連載では、製造業におけるデータ分析を大きく2つのタイプに分類し、それらの特徴や課題を紹介するとともに、製造業におけるデータ分析の将来像と、それによって製造業のビジネスがどのように変革していくかを展望する。
深化するSCM
「SCM(Supply Chain Management:サプライチェーンマネジメント)」の目標は、人・モノ・金の計画や実績の情報を相互に連携させることで、企業全体でコストの最適化を図ることである。そのために、需給・購買・生産・物流・販売の各業務をITでつなぐ。このSCMには既に、多くの企業が取り組んできた。しかし、SCMに「これで十分」というゴールはない。先進企業は、これまで光が当てられていなかった、より細部・より深部の業務課題にフォーカスし、さらなるコスト改革へ取り組んでいる。本連載では、先進企業の業務担当者がどのような課題意識を持って、SCMの深化に取り組んでいるのかについて、アビームコンサルティングの各領域のスペシャリストが、フレームやケーススタディ交えながら解説する。
IoT時代に向けたデジタルマーケティングのデータ活用法
オンライン/オフラインで取得・利用できるデータの量や種類が増加し続けています。Webの世界におけるアクセスログ解析も、一昔前まではアクセスログの分析のみでしたが、今ではWeb解析、アナリティクスへと変遷してきました。この変遷は、この10数年で急激な変化・進化を遂げており、その最前線に常にいなければ、従来のアクセスログの分析の段階で理解が留まってしまっていても不思議ではありません。本連載では、データ活用の“昔”から“現在・未来”への架け橋になるよう、データ活用のトレンドと、様々なチャネルから取得したデータを活用するためのアイデアを提供したいと考えています。マーケティング活動をはじめ、データに基づく企業活動が増々重要になっていく中で、各社の戦略/マーケティング部門の認識や専門用語を知ることは、円滑なデータ活用を進めるためには不可欠です。
データの説得力を高めるインフォグラフィックスの基礎知識
「ビッグデータ」に象徴されるように、データを用いた説得が求められています。しかし、様々なデータを集め、それらを集計したとしても、Excelシートのまま数値を見せても説得力は高まりません。そのため最近のBI(Business Intelligence)/BA(Business Analytics)では、インフォグラフィックス(Info-graphics)の技術を適用した様々なグラフが作成できるようになっています。本連載では、データの可視化方法である多数のグラフについて、どんなデータを可視化するのに適しているのか、そのグラフを作成するために必要なデータ項目は何かなどを解説します。棒グラフ/円グラフだけのプレゼンテーションから卒業しましょう。

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